2022上半期よかったコンテンツ+α

まずは前回の記事に沢山の反応ありがとうございました。
お陰様でその後体調は割と落ち着いてます。ただ前回の記事では書いてなかったのですが、5月以降体調のいい悪いの波が激しく、一度落ち着いたと思っても予断を許さない状況なのが辛いところではあるのですが……。
という訳で体調がいい内にこれを書いときたいと思います。鎌倉殿は現在放送中のため今回は敢えて外しました。あとちいかわはもう自分の中で殿堂入りコンテンツなのでこれも敢えて外してます。本当は書きたいこといっぱいあるけど……!!!!!!!!!


・カムカムエヴリバディ
2021年下半期の方でも書いたけど、作品が完結したので改めて。
安子編、るい編も毎日楽しく見てはいたけど、自分の中でギアがかかってきたのはひなた編からだった。主人公がひなたになってからというものの、執拗に繰り広げられる劇中劇やメタ展開、妙に濃い脇キャラなど途端にいつもの藤本有紀ワールドが全開になり、毎日「今日はどんな仕掛けが来るかな」とニヤニヤしながら見ていた。一緒に見ていた母親は「なんかひなたになってから急に雰囲気変わったな~」とちょっと呆気にとられている時もあったが……。
藤本有紀が脚本をやるオリジナル作品は良くも悪くもある程度「変」な部分があり、この「変」さがかなり人を選ぶ要素(であり、同時に一部の視聴者を猛烈に惹きつける要素)だと思うけど、全体を通してカムカムはこの「変」のコントロールがかなり上手い作品だと感じた。ド王道な朝ドラストーリーの安子編から始まり、るい編ではるいとジョーの恋物語を主軸に置きながら、るいの妄想癖によって展開される劇中劇で少しずつ「脚本:藤本有紀」的な要素に視聴者をなじませて、ラストのひなた編で全開にする。結果として、朝ドラという万人受けしなくてはいけない一大ビッグプロジェクトとしての体裁は保ちつつ、往年の藤本有紀ファンも楽しませる作品になったのではないだろうか。
ちなみに一番好きな回は3月15日に放送された、算太がサンタの恰好をして商店街で踊る回だ。算太は藤本有紀作品でよく見る「男親との関係をこじらせている男」なので、きっと大変なことになるだろうと予想していたが、安子編のラストでこちらの想定を遥かに上回る大変なことをしでかしてくれやがった。そのせいで視聴者からのヘイトも買っていたし、個人的にも許せない部分があるキャラではあったが、どういう結末になるのかずっと気になっていたので、ああいう最期が用意されていたのは嬉しかった。演出もビシっと決まっていて、NHKプラスで何度も何度も見直した。


・NEEDY GIRL OVERDOSE

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主題歌の方は2021年上半期の方で紹介したが、その後無事にゲーム本体もリリースされた。めでたい。
「作者の思想が強い……!!」というのがゲームクリア後に感じた最初の感想だった。とにかく作者のにゃるらさんが好きなモノやコトや感性がゲーム全体にパンパンに詰め込まれている。私は数年前からにゃるらさんのブログやTwitterを拝見しており、彼の趣味嗜好をある程度把握していたのもあって、余計プレイ中にそれを強く感じた。正直、時折あめちゃんや超てんちゃんを貫通して、にゃるらさんそのものが顔を出していると感じたシーンもいくつかあった程だ。
それでもインディーゲームとしてはかなりの売上本数を出しているのは、「配信者を育成する」というキャッチーで今っぽいゲームコンセプトとか、キャラクターやUIのデザインの可愛らしさとか、最初から海外展開を見据えて動いていた部分が大きいのだろう。製作チーム全体がクレバーなんだろうなと感じた。
ゲームそのものとしては、あめちゃんの各パラメーターの調整が難しく、ぶっちゃけ最初の数ルートをクリアした後は攻略wikiに頼りっぱなしであった。マルチエンドでルートの数が結構多いため、何度も周回することになるが、プレイヤーを飽きさせないための工夫を随所に仕掛けてくれてるな~と思った。というか全体的に細部の拘り具合がすごく、延期もやむなしといった感じである。ちなみに好きな細かい部分は、「おくすり」でトリップした時の演出が○麻だとBGMが遅くなって、L○DだとBGMが早くなるところ*1。あと超てんちゃんのツイートについてくるリプライ群や、エゴサした時に表示されるツイートのリアルさは、フィクションのSNS表現としてMIU404と同じくらい精度が高いな……と思った。
ゲーム本体だけではなく、超てんちゃんがゲーム発売後突然Twitterアカウントを作成して呟いたり、たまに本当にYouTubeで配信したりといったゲーム外の動向でも色々楽しませてもらっている。Switch版発売に伴い、ルートもいくつか追加されるらしいので楽しみだ。
(以下本当にどうでもいい所感のため反転)
あめちゃんは色んな行動でどんどんパラメーターの「やみ度」が増えていく(≒精神的に病んでいく)んだけど、「おでかけ」コマンドで病院を選択すると、あめちゃんのやみ度が-10される。これはゲーム内では破格の下がりっぷりである。ゲームの調整バランスのためにたまたまやみ度を大量に下げられるポイントを病院に設定しただけかもしれないが、何となく医療への圧倒的な信頼を感じてしまい、この事実に気づいた時少し戦いてしまった。ちなみに今私が通ってる病院は行っても精々やみ度-1くらいです。


・VIVA LA ROCK(5/1)
今年最初に行ったフェスであり、同時に今のところ今年最後に行ったライブでもある。ライブ行きたいねえ……。
色んなアーティストを見たけど、特に印象に残ってるのは日食なつことスピッツだ。日食なつこさん、アーティスト名はビバラのラインナップを見て初めて知った、水流のロックは昔どこかで聞いたことがある……程度だったけど、サブスクで何曲か聴いた時点で好みの曲が多く、ライブを見るのが楽しみだった。ポップしなないでも好きなので、私は鍵盤とドラムの2人体制の楽曲が好きなのかもしれない。
ライブは運良く前方で見られたけど、演奏、セトリ、MCといった諸要素が全部好きな感じで、ライブ中はぶち上がってしまった。5月にあったワンマンは体調不良のため行けなかったが、もしまたライブを見られる機会があれば是非行きたい。
スピッツの方は……とにかくすごかった。スピッツのライブは何回か見たことあるけど、毎回すごい。まず演奏が死ぬほど上手い。バカなので具体的にどう上手いのか全く言語化出来ないのだけど、スピッツのライブを見るたびに毎回毎回「演奏上手くない!?!?!?」と新鮮に驚いてしまう。本当に演奏が上手いので、音源で聴いた時あまりピンとこなかった曲もめちゃくちゃぶっ刺さるし、元々音源の時点で好きな曲に至ってはあまりの素晴らしさに発狂しそうになる。
あとやはりベテランバンドなので、セトリが全く読めないところも良い。勿論定番曲が来ても嬉しいし、たまにサプライズで昔の曲を演奏してくれるのも大変ありがたい。ビバラの時は「アパート」という大分昔の曲をやってくれたのだけど、これが私の好きな曲だったのでイントロの時点で「やったやったやった~~~!!」と叫びそうになった(発声禁止です)。
そしてベースの田村さんがすごい。アップテンポの曲になると一人だけめちゃくちゃ縦横無尽に動き回る。それなのに他のメンバーは完全に「通常営業」って感じで大人しく演奏を続けてるので、ステージを見ると田村さんとそれ以外のメンバーの温度差で気が狂いそうになる。あと田村さんが動き回ると、スタッフの人がケーブルやらなんやらが引っこ抜けないように後ろの方で必死にサポートしてるのが見えるので、「スタッフの人、頑張れ……!!」とスタッフに気をとられる瞬間が必ず発生する。そして気がつくといつもあっという間にライブの時間が終わってしまうのだ。
フェス全体としても収容人数を上げたり、スタンディングエリアが復活したお陰で去年よりぐんとフェス感が増していてよかった。感染者も出なかったようで何よりだ。来年はビバラも10周年ということでより盛大に開催できることを祈っている。


・犬王(&平家物語

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2022年はやたらと平家が滅亡する作品が多いけど、その内の二つである。なんでセットにしたかというと、平家物語→犬王と見た時に、これはどちらも「語り継ぐ」というテーマで作られた一連の作品だと感じたからだ。
ここからは犬王単独の感想になってしまうが、湯浅監督&野木亜紀子脚本ということで、どっちの色が強く出る作品になるんだろうと思っていたけど、予想以上に野木亜紀子作品としての色が強いな……と思った。コタキ兄弟、罪の声、MIU404に続いて犬王も「語られない人達の物語」だったので、ずっと一貫したテーマでやっていってるというか、野木さんの問題意識がここにあるんだろうな、ということを強く感じた。まあ実は今挙げた以外の作品はまだ未見なので他の作品だとまた別の話をしてるのかもだけど……。
ちょうど一番心身がへたっている時期に見たというのもあり(ぶっちゃけ映画館まで辿り着くのも一苦労だった)、最後に現代で犬王と友有が再会したシーンでダバダバに泣いてしまった。その後家で特典で貰えた小冊子を読んでまたちょっと泣いた。というか出来ればあのやり取りは本編に入れた方が二人の関係性がより分かりやすくなっていたのではないかと少し思ってしまったが……。
ここまで全然ライブシーンの話してなかったけど、ライブシーンもよかった。正直最初は夜は短し~やルーのうたのような荒唐無稽なアニメーションになるのかと思っていたので、今作のライブシーンの感じは予想外ではあったけど楽しかった。「竜中将」が映像も曲も一番好きで、サントラで何回も聴いた。


・「THE BEE」(2021年版)
WOWOWで放送されていたので録画して見た。
見終わってとにかくまず「怖い」というのが率直な感想だった。それはストーリーもだし、演出もだし、どんどんと正気を失っていく井戸の演技も怖かった。何なら4人だけの演者で淡々と繰り返される最後のカーテンコールすら少し怖かった。見たのはごく最近なんだけど、はっきり言ってあまり体調が良くない状態で見るべき作品ではなかったとすら思う。
でも同時にどうしようもなく惹き付けられたし、生で見たお客さんが羨ましいな、とも強く強く思った。見た日は寝るまでずっとこの舞台のことを考え続けさせられた。
セットも小道具も最小限で、想像力をフルに使わないとダメな演出だったので、解釈が難しいシーンも多かった。WOWOWだと本編後に出演者と野田秀樹の座談会が特典映像としてついてくるんだけど、それを見てようやく腑に落ちた場面も多い。
野田さんのインタビューを読んだら9.11に着想を得て作ったということだったけど、普通に今日にも全然響く内容の話なところが哀しかった。


・メダリスト5巻

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メダリストは1巻からずっと面白かったけど、この巻は特にすごかった。
「中部ブロック大会編」と銘打たれて、表紙に主人公の結束いのりさんが大きく描かれているのだから、当然いのりの滑走が話のメインになるだろうと思うのに、なんとこの巻ではいのりは滑走しない。この巻の主役は、冒頭のカラーページで出てくる中部地区のノービスAの選手たちだ。全員この巻で初登場なので、言ってみれば知らねえ女の子である。知らねえ女の子が試合してるところを、脇役のおじさんと女の子が、脇役の老人の解説を聞きながら見る展開がずっと続く。言葉で説明するとすんげえつまんなそうなのに、滅茶苦茶面白いのですごい。
それはそれとしてどうしてもいのりさんの滑走結果が気になったので、5巻読了後コミックDAYSの定額プランに課金してメダリストだけ毎月最新号を追うようになった。私は講談社の犬です。


・鬱ごはん151話

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作中世界がコロナ禍に突入してからの鬱ごはんは、作品全体に何となく凄みがかかっていて毎回読むと鳩尾に一発入れられたような気持ちになるのだけど(褒めています)、この回はとくにすごかった。たった数ページなのに、詰め込まれている細部のリアリティが鬱野の孤独を縁取っていて、読む度に軽く絶望してしまう。敢えてこの話をピックアップしたけど、他の回も本当にすごいので是非読んでほしい。読み続けてもし気持ちがくじけたら口直しに僕ヤバとか読むといいと思う。(同じWEBコミックサイトで連載されてるので)


・cadode

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サマータイムレンダのエンディングがきっかけで知ったが、他の曲も良くて嵌まってしまった。「廃墟系ポップユニット」というコンセプトでやってるらしく、どことなく寂寥感を感じる曲が多い。その中でも特に「三行半」という曲が好きで、一時期ヘビロテしまくっていた。
インタビューを読んだら「イリヤの空、UFOの夏」の話が出てきたので、元々自分の感性と近いところがあるというか、恐らく似たようなコンテンツ遍歴をたどっているのが好きになった理由の一つかもしれない。5月のワンマンはやはり体調不良のため行けなかったが、12月の東京公演は体調を整えて是非行きたいと思っている。


・オモコロのAI動画シリーズ

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文字通り人知では考えもつかないような展開が次々と襲ってきて死ぬほど面白いのでずるい。あとこれのシリーズ、コンセプトこそ「AIに全部任せちゃおう」だけど実際はAIが出力した台本の編集から撮影までめっちゃ労力かかってそう。


・メイバランス

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今回の記事は書き始める前から最後は必ずこの商品で〆ようと決意していた。元々人に紹介してもらって知った商品だが、一番体調が悪い時、これに本当にお世話になった。
一番の魅力は液体なのに腹持ちが異常にいいことで、これのお陰で「お腹空いてるけどお腹空きすぎて気持ち悪いから食べられない」という現象をかなりの確率で防ぐことができる。手に持ってみると結構小さく感じるが、これでカロリーも200キロカロリーあるし、栄養素も色々入ってるというから心強い。味も色々あるので「同じ味ばっかで飽きる」ということもないだろう。常温保存もできるし、賞味期限もかなり長いので元気な人も病気になった時用に備えて買っておいてはどうだろうか(コロナも未だに流行ってるし……)。
少し値段が高いのがネックだが、値段を出すだけの価値はある商品だと思う。ちなみに私のおすすめはブルーベリーヨーグルト味です。

*1:大○はドラッグの中でも鎮静効果の高い薬物で、反対にLS○は興奮効果の高い薬物だから

鬱病で体ぶっこわれた

まあタイトルの通りなんでこっから下の本文は全部余談なんですけど。

精神科への通院自体はもっと前から行ってたが、去年の秋頃から心身の具合が崩れに崩れた。ブログには書いてなかったが、パ・ラパパンパンを見に行った時など都会の喧騒に心身が対応できず、席まで辿り着けるかギリッギリだったくらいだった。
そんなわけで会社も休職した(現在は休職期間満了に伴い退職し、無職である)。
休職になった辺りのタイミングで病院からの処方薬がいくつか増えた。その中の一つが結構よくきいてくれた。それなりに波はあったものの、少なくとも夜眠って朝起きて、朝昼晩と三食食事を取れていた。「精神不良」ではあったけど「体調不良」を感じる日はそんなに多くなかった。暇な時には友達と会って遊んだりライブに行くくらいには健康であった。

転機はGW明けだ。
色々あって血液検査をしたら、それまで飲んでいた処方薬で副作用が出てることが判明した(詳しく知りたい人は「高プロラクチン血症」とかでググってください)。主治医に「もうこの処方薬は止めて別のに変えましょう」と言われ、不安だったけど承諾した。
それからだった。
自律神経失調症」でググって出てくる症状は全部出た。何より眠れないし飯が食えない。主治医も診察の度に薬を取っ替え引っ替えしてくれてるが、病状が改善しない。
とりわけ動悸がひっきりなしに出てくるのが辛い。丸一日かけて検査もしたが特に臓器的にはなんの異常もなく、シンプルに脳と自律神経の狂いだけでこうなってるらしい。トップがダメだと全部ダメになるということか。ロシアと一緒だな

怖い。
まず自分の体が突然制御不能になったのが怖い。横になって安静にしてるのに脈拍140くらい出てるのも怖いし、夜中に動悸で目が覚めるのも怖いし、食事がちゃんと取れないのも怖い。
鬱病は内臓の病気とかと違ってどこが患部なのかもハッキリしない。だからいつまでこの状態が続くのか、薬で治るのか、元の状態に戻れるのはいつなのかも何も分からない。それもすごく怖い。
食事も取れず、睡眠も取れず、体調不良で動けないまま床に臥していると、自分の存在が主体のある人間から、意識だけがある肉塊へと置換されていくような感覚にしばしば襲われ、この時の怖さと苦しみは耐え難いものがある。
実家暮らしなので日々の生活をケアしてくれる家族はいるが(本当にありがたいことです)、家族には自分の恐怖を100%受け止めて共感してもらえてる訳ではない。医療者の皆さんはある程度私の話に共感してくれるが、彼らは付きっきりで私に寄り添ってくれる訳ではない。
私は自分で自分の恐怖を処理しなければならない。それが苦しい。辛い。孤独でたまらない。まだ発狂してないのは奇跡だと思う。マジで。

今現在私は本当にギリギリのところで生きている。
命綱になってるのはTwitterでのフォロワーとの他愛もないやりとりだったり、ちいかわの漫画だったりしてる(この前のハチワレが腹に生クリームかけられる漫画、あれ何?)。
最近は治療がうまくいかなさすぎて入院の話も出てきた。しかし精神科の入院病棟というのはスマホ使用禁止のところが多い。うちの病院も聞いてみたらかなり使用時間が制限されてるみたいだった。スマホがあるからまだ私は辛うじて人間で、スマホ使えなくなったら本当に意識があるだけの肉塊になりそうで怖い。だからギリギリまで外来で粘りたい。病院まで公共交通機関で行くのもしんどくてタクシー使っちゃうことあるけど……。


とりあえず現状は大体こんな感じです。
正直希死念慮スゲーことになってるけどまだ生きてます。生きてるというより死んでないだけって方が状態近いけど……。だからもし良かったら応援してください。更に慈悲の心があれば、Twitter(@glayglassforest)にリプライとかメンションください。
明日生きてるかは分かんないけど今はまだ生きてるから。
よろしくお願いします。

2021下半期よかったコンテンツ

お久しぶりです。
これの下半期verです。上半期より大分数が少ないけど……。

・パ・ラパパンパン
・カムカムエヴリバディ
パ・ラパパンパンの方は個別記事で書いた。その記事の方でカムカムエヴリバディの第一週について「万人受けするような第一週」と、まあ前フリにするような書き方をしたのだが、年内分の放送を全部見終わった今となっては「よくも騙したな」(いい意味で)という感情しかない。
安子編の終盤……すごかったね……?「るいのことを一番に考えるなら私情を抑えて勇と再婚すればいいのに」という、傲慢な視聴者の『良識』をバットでぼこぼこにするようなオチ、好きだな~。あとパ・ラパパンパンの感想と被るけど、やっぱり藤本有紀作品って、なんか男女の性愛描写がジットリしてるんだよ……。
るい編に入ってようやくストーリーラインが落ち着きを取り戻したけど、Twitterとか見てるといつまた修羅展開になるか気が気ではない人が結構いるっぽい。ちいかわが単発1ページ漫画だけやってる時のオタクみたいで面白い(すみません)。


・Fujii Kaze "HELP EVER ARENA TOUR"(11/27)
藤井風が歌って踊ってピアノ引いてサックス吹いてと、とにかくありとあらゆるパフォーマンスを見せてくれた。演出も手が込んでてキッズダンサーが出てきたり、MVに出てきた宇宙人みたいなのが出てきたり、尺八の演奏家が出てきたり、曲の途中で照明がプラネタリウムみたいになったりしてた。元々の曲のパワーがすごいのだから、正直そんなに凝った演出をしなくてもライブとして成立しそうなのにとにかくエンタメに全振りした仕様になっていて、見てる間ずーっと楽しかった。また行きたい……倍率高そうだけど……。

 

AKIRA
1988年公開作品だけど!?まあ上半期の方にもメランコリックの感想とか書いてたので……。
つい先日のYouTubeの無料公開に合わせて見た。一応ジャンルとしてはSF映画なんだけど、主人公の金田がパズーから理性と思いやりをオミットしたような言動をする男なので、金田が出てくる場面ではなんだかヤンキーものを見ている時のような気分になった。それでいてSF映画をやっている場面も多いので初見時はその辺で結構混乱した。
あとナンバーズと呼ばれる超能力を持つ子供たちの外見が結構ぎょっとするような、ありていに言うとミイラとかリトルグレイみたいな見た目なんだけど、粗野な言動を繰り返す金田よりよっぽど(個人的には)分かりやすい立ち回りをしてくれるので、中盤以降は金田よりも鉄雄よりも彼らに感情移入しながら見てしまった。本編の描写を見る限り厭世的になってもおかしくなさそうな環境で暮らしているのに、鉄雄の暴走を止めるために色々尽力してくれるの、いい奴らだな。それにしても商品化とかを全然考えてないビジュアルだ……エヴァパイロットは呪いだかなんだかでずっと14歳の外見だったのに……。
とにかくアニメーションがすごくて、手間のかかってそうな画が連発するので、あのシーンの意味とは……とかあんま難しく考えないでかっこいい映像作品として見るのが一番いいのかもしれない。そういえば金田バイクのシーンが全然重要でもなんでもないシーンで笑ってしまった。みーんなあれの真似してるのに……。

 

・Shooting Star feat. CHICO CARLITO & R-指定

www.youtube.comここ数年のR-指定の客演ものの中ではトラックもリリックも一番好きかもしれない。「彼岸花」「煙」「線香花火」と儚げなイメージの単語を散りばめておきながら最後の一言で裏返すのがR-指定らしくて、聞くたびにニヤッとできる。CHICO CARLITOのフックもめっちゃかっこいいな~。
この曲が入ってるアルバムそのものも名盤だった。お勧めです。

ultravybe.lnk.to

 

・【ナイトルーティン】夜に欠かさない習慣を全部ウソでお届けします

www.youtube.com最悪インターネット概念、しょ~もない下ネタ、奇行、大声とオモコロに求めているものが全部詰まっていたので……。

 

・ちいかわ
なんだかんだ言って年間通じて楽しんでたコンテンツといえばやっぱりちいかわ(というかナガノ作品全般)だったかもしれない。
ちいかわ、本編は去年と変わらず、いや去年以上にフリーダムで愛らしい作品をコンスタントに発表し続けているけど、今年はグッズ展開やコラボカフェなどの漫画以外の動きが活発で、毎日何かしらが発表されるのを見るだけでも楽しかった。ちいかわグッズはナガノ先生の描きおろしも多く、ひとつひとつの発表を見るたびにその裏側でコストや販売時期などの調整をし続ける沢山の人々と、パワフルに新たなデザインやイラストを創り出すナガノ先生の力が合わさってこのグッズたちは生まれてるんだよなあ……と思い、胸を熱くしていた。常日頃人間社会と距離を置きたがる自分が数少ない人間社会を手放しで肯定する瞬間だった。
Twitterで見るのみならず、実際に自分も

東京駅のポップアップショップに行き、

ちいかわの森に行き、

原宿にあるちいかわらんどに行った。
グッズも部屋の収容面積と日々闘いながら少しずつ増やしている。2022年のカレンダーはちいかわだし、部屋の一角にはガチャで手に入れた小さいフィギュアやアクスタを並べているスペースを作った。

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ちいかわグッズのいいところは、本編ではなかなか堪能しづらい可愛げ全振りのちいかわ達を何の心配もなく愛でられるというところだ。
ちいかわの本編にはいついかなる時でも緊迫した展開に移行するかもしれないという危険性が常に付きまとう。それこそがちいかわがTwitterでヒットした理由といえばそうだけど、キャラクターとしてのちいかわをヘラヘラと気軽に眺めるにはちいかわの本編はちょっとハードすぎる。突然ポップアップしてモブキャラを攫っていくでかい鳥とかいるし……。グッズのちいかわは静止した時空の中にいるのでその点気楽だ。
これはメインキャラでもバンバン退場するタイプの作品のキャラがコラボグッズとかだと平和そうにしてるのとちょっと似てるけど、ちいかわはマスコットキャラクターなので、むしろグッズで可愛さを振りまく方が本業で、労働のためにさすまたを振り回している本編こそが異常という倒錯した状況になっている。この矛盾も含めてグッズを堪能できるのは、世にコンテンツ多しといえどちいかわだけだろう。
来年はアニメも控えているし楽しみだ。


今年の下半期は私生活の方が滅茶苦茶なことになってしまいあまりコンテンツを見る気力がなかったのだが、全部書き出してみればそれなりの分量になった。上に書いてない以外にも色々面白いコンテンツもあったし。プリマジとか……。
来年は正直まず私生活の立て直しが急務になるとは思うけど、状況が許す限りは相変わらず節操なく見たり聞いたり行ったりしていく次第だ。とりあえず1月からの鎌倉殿の13人と平家物語で中世フィーバータイムを楽しみたい。ALIも活動再開してくれたのでどっかのタイミングでライブに行きたい。やっていくぞ。

2021上半期よかったコンテンツ

・大豆田とわ子と三人の元夫

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以前野木亜紀子がインタビューで完成度の高いドラマを正円に例えて話していたけど、このドラマは正しく完璧な正円のドラマだなという印象を持った。とにかくまず画面がオシャレで華やかで見るだけでウキウキしてくるし、日常シーンの軽妙なやりとりの一枚下に存在する社会の不条理と生の苦しみと、それでも日々を前向きに暮らしていくとわ子達のほんのわずかな期間を切り取った話作りも好きだった。
漫画や小説の素晴らしい作品とは違って、集団制作のドラマは作品に関わる様々なセクションの人が同じビジョンを共有出来ていないとクオリティを担保できないので、まずそこがすごいなあという感想がどうしても最初に来てしまう。まあ各々が違う方向に全力を出した結果ウニみたいな形になってるドラマ(清盛とか)も好きだけどさ……。
劇伴もやたら力が入っており、サウンドトラックが各種配信サイトで配信されてるのでドラマに興味がない人も是非聞いてみてほしい。ドリームチームみたいな布陣の主題歌も勿論良かった。

 

ワンダーエッグ・プライオリティ

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野島伸司のセンセーショナルな脚本と若林信監督のキレッキレの画作りが融合した結果生まれたキメラみたいなアニメ。クオリティに拘りすぎた結果本放送を落としたけど、脚本が広がりすぎてこの前放送された特別編でも完全には物語が完結しなかったので無問題です。そんな訳あるか。
いくつか似た要素のあるフリップフラッパーズを見た時は「そんなに何でもかんでも説明しちゃうのか……」と思ったけど、このアニメに関しては「こんなに色んな要素をほったらかしたまま終わるのか……」と思ってしまうので人生はままならない。とはいえ主人公・大戸アイの物語としては本放送分で綺麗に完結していたという印象があるので、実際そこまで消化不良だとは思ってないです。
プロップデザインの井上晴日さんの仕事が素晴らしくて、毎週放送後にtwitterでラフデザインを見るのが楽しみだった。

 

・VIVA LA ROCK(5/3)
2年ぶりの現地参戦フェス。入場時のオペレーションが死ぬほど難しかったりとか飲食スペースが会社の休憩室のような殺風景さだったりとかCAVESTAGE入場規制かかりっぱなしとかはあったけど、やっぱりフェスに行くとハレの場だ!!とテンションが上がる。
大宮セブン含めどのアーティストも気合いが入っててよかったが、特にラストのレキシ→藤井風→オレンジレンジ三者三様の盛り上げっぷりがすごかった。その中でも藤井風は正直彼目当てで来てる人も多いんだろうな~と感じてしまうくらい観客の期待度が高まってることが発声を禁じられてる会場からも伝わってくるし、それに応えるかのようにフェスとは思えないほど独自の雰囲気をあっという間に作り上げる藤井風のパフォーマンスもすごかった。2019年のキングヌーの時も思ったけど、これからもビバラには「今音楽シーンで注目されてて1回はライブ見てみたいけど、単独ライブのチケット戦争が厳しすぎる系アーティスト」をガンガン呼んでいってほしい。

 

・あさがくる

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アフタヌーン四季賞大賞作品。
最近スタァライトやかげきしょうじょで盛り上がってる音楽学校ものだが、この漫画の主人公・吾妻朝顔音楽学校の生徒ではなく、音楽学校に合格できなかった元受験生なので前述の作品とは大分趣が異なる。彼女と宝塚志望者の中学生・くるみとの交流は当然ぎこちなく、胸がキリキリするようなシーンもあるが、あっさりした絵柄と細やかな仕草の描写などを見ているうちに不思議とするすると読み進められる。あと別作品の「しかのあし」でも思ったけど、この作者さんのバレエとか体操とかの体を使うシーンの描き方が好きです。
実は作者の人の作品を以前から読んでおり、この漫画を描き進めているのもTwitterで見ていたので受賞のニュースを見た時は本当に嬉しかった。

 

・メランコリック
別に今年発表の作品ではないけど見たのが今年だったので……。
フォロワーの人に誘われてAmazonプライムのウォッチパーティーで見たけどすごい面白かった。事前情報を殆ど入れずに見たので、終盤まで話がどう転がるか全くわからずにハラハラしながら見ることが出来てよかった。ただAmazonプライムのジャンル:コメディは完全に詐欺の部類だと思う。
Twitterにも同じことは書いたけど、真っ当な社会から外れた青年二人の物語ではあるけど真っ当に生きてるはずの主人公の彼女すら光熱費をまともに払えないくらいの生活を強いられてるという苦しみがあって、だからこそあのラストシーンが本当にいいものなんだけど、とはいえ殺人の不可逆性を散々本編で見せられた後に主人公が人を二人殺しているのであのラストシーンの5分後に全員逮捕されてたとしても全く違和感はない。
イグナッツでR-指定がこれを胸キュン映画として紹介していたけどどこに胸キュンすればいいんだ。松本が和彦の実家で銃創の消毒受けるシーンかな?

 

・その他、よかったやつ

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動画タイトルこそ考察となっているけどロジカルに出場者のネタのどこがすごいのか、どうすればより笑いが獲れる可能性があったのかというのを分析していてすごい。
動画編集もしているんだろうけど、説明がとにかく分かりやすいし淀みがないなあ~と思ってたら漫才大会の審査員とかしてるんですね。

 

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ゼロ年代感溢れる音と昨今のミームをバリバリに取り入れた歌詞のギャップ。ゲームの主題歌なのだが肝心のゲームが発売延期を繰り返しまくってるのも含めてあの頃っぽさがある。MVを見るとちゃんとアスペクト比率が4:3になっててすごい、というかこのMVで初めてそこをいじれるのを知った。

 

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未だになんで突然この人がマヂラブのイメソン(イメソンではない)を作ったのか全然分かってないんだけど、「若者に人気の作曲家が突然存命お笑い芸人のイメソンを作る」という怪現象込みで好きな曲。

 

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原作がすごい好きだったのでアニメがどうなるか不安だったけどこのOPを見た時点でもう大丈夫だな!!と思えた。本編はエドワードが突然3Dになったりエンディングをジャックしたり、アニオリパートではケイト様の声真似をしたりチョンボかましてライアンに髪をひっつかまれたりととにかくエドワードがやりたい放題していた印象が強い。勿論本筋もアニオリパート含めてケイト様とエミリコの関係性に重点を置いた話作りになっていながらも、最近の本編ともリンクするような要素を先出ししていたりといいアニメ化だった。
一言しか台詞のなかったオリバー役の榎木さんの演技がすごく良かったので、早く2期でスナック感覚でボロボロ情報漏洩するシーンをやってほしい。

 

後はシンエヴァ(これは前に感想書いた)とかスタァライトの映画とか日比谷野音のcnann0のライブとかマヂカルクリエイターズの漫才のようなもの選手権とかもよかったです。
こうやって下半期も見境なく色んなジャンルのコンテンツを見聞きした結果、絶妙にどの辺りの人とも話の合わないコウモリ野郎として寂しく生きていく所存です。嘘です一部でも知ってるやつがあったら是非Twitterとかで話しかけてください。

nogi note8話の記載について

※nogi noteとシナリオブックのネタバレがあるので注意してください。
※全て一個人の考えです。
※制作関係者全ての発言を捕捉できているわけではないため、何らかの矛盾がある可能性があります。




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