nogi note8話の記載について

※nogi noteとシナリオブックのネタバレがあるので注意してください。
※全て一個人の考えです。
※制作関係者全ての発言を捕捉できているわけではないため、何らかの矛盾がある可能性があります。




 



結論から先に言うと、「nogi noteで語られていた蒲郡の自決が最終話の志摩の悪夢の中での自死と繋がる予定だったのでは?」という話です。
以下は補足説明をしてるだけなのでお暇な人はどうぞ。

※以下の文章において、シーン数の数字はシナリオブックに準じます


ブルーレイ発売前から新井Pのザテレビジョンのインタビューでも「もっとショッキングな結末」になる予定だったと言われていた8話。
というわけで既にTwitterなどでもガマさんの自殺は予想されていたため、いざnogi noteにそう書かれていた時もあまり驚きはありませんでした。
ただ、「連行中に自決」というところは予想と違ってて、例えば自分がブルーレイ発売前に考えていたのはこんな感じだったんですよ。

シーン57までは本編と同じ。
盗聴器を仕込んだ伊吹が蒲郡宅を訪れると蒲郡が首を吊っているのを見つける。
異変に気付いた志摩も駆けつけ救急車で搬送されるもすでに心肺停止状態でそのまま死亡。
机の上には遺書が置いてあり、シーン59~69頭と大体同じ内容が書いてある。
遺書を全て読み崩れ落ちる伊吹。
以後シーン76から最後まで本編と同じ*1

ですが、nogi noteだと「連行中に自決」とあるので、シーン74までは恐らく本編と同じような流れで、シーン75以降のどこかで自殺する予定だったと考えられます。
そして、具体的にどうやって自殺するか?ということについてですが、家の中で手錠をかけられてから車に乗るまでというかなり短いタイミングになるため、手段は限られてきます。そうなると一番考えられるのは周りの刑事から拳銃を奪って自殺するという方法です。

私は、当初のプロットではガマさんは志摩の目の前で拳銃自殺をする予定だったのでは?と考えています。

いきなり話が変わりますが、11話、悪夢の中で志摩は久住と相討ち(にほぼ近い形での自死)を選択してしまいます。
この悪夢の内容、放映時に事前に予測できた人はほとんどいなかったのではないでしょうか?
犯罪者の立場に立って物事を考えられる素質を持つもののどこか危なっかしさがある伊吹が、ガマさんの「刑事としての自分を捨ててでも許せない相手を殺す」という選択を見た上で、一度は久住と対話を試みるものの、最後は一線を越えてしまう――という悪夢の中の結末は、ある程度想像がつくものでした。しかし志摩の方はどうでしょう。香坂の死の真相が分かってもなお自罰感情が残り続けているということは本人によって語られてはいますが、それが希死念慮クラスまでに深いものだったかを10話までの映像から読み取ることはかなり難しいのではないかと思います。
志摩の物語位置エネルギーは6話で一旦の収束を見せ、以後最終話まで大きく動くことはありません。コメディ回の色合いが強い7話はともかく、8話~10話と本筋が大きく動く局面においても、志摩の内心がストーリーの前面に出てくることはないです。勿論演出等で志摩の心情は十二分に伝わってくるようにはなっていますが、他キャラクターが動揺している局面でも表面上は冷静に対応しているように見えていたからこそ、悪夢のシーンで吐露される自身への辟易にある種のカタルシスがあったのも確かです。
ただ、もし8話で志摩がガマさんの自殺を目の当たりにしていたとすると、最終話に向けてもっとしっかりとした導線が引かれていたと思うんですよ。
当初の8話での蒲郡の行動は「刑事としての自分を捨て、どうしても許せない相手を殺し、自殺によって全てを終わらせる」というものでした。これはそのまま最終話の悪夢の中での志摩と伊吹の行動を統合した形になっています。そして志摩ももし蒲郡の自殺を目の前で見ていたとしたら、「どうして止められなかったのか」と煩悶し、自罰感情がより大きなものになっていたとしても全くおかしくありません*2
更に、仮に目の前で拳銃自殺を見ていたとしたら、悪夢の中で持っていないはずの拳銃が突然出てくるのもはっきりとした説明がつくんですよね。私はあの拳銃は負の感情のイデアみたいなものなのかなと思って見ていましたが、「一度拳銃自殺を見てしまったため、イメージに引きずられて持っていないはずの拳銃が夢に出てきた」とする方が、リアリティラインの高いこのドラマらしいと思うんです。
まあ全部私の妄想に過ぎないし、結局世に出た形の8話が全てだよなーとは思うのですが、「連行中に自決」の一言から色々想像できてしまい、Twitterを検索しても似たようなことを言ってる人をあまり見かけなかったので*3、整理がてら一度文章に起こしてみました。


ちなみに8話はnogi noteもなかなかに衝撃でしたが、個人的にはシナリオブックでの伊吹の部屋の描写が実際の映像とかなり違っていたのに一番驚きました。部屋ってキャラクター解釈に割と重大な影響を及ぼすと思うんですけど、そこを脚本のト書きから変えちゃっていいものなんですね……。

*1:ちなみになんでこう想像したかというと、理由の一つにこっちの方が場面に登場する人数が少なくて済む=感染症対策が楽になるからというのがあります

*2:さらにこれはない話のない話になってしまいますが、ガマさんが志摩の拳銃を奪って自殺していた可能性もあると思うんですよね。そうなった場合より志摩は自分を責めるはずだし、伊吹への罪悪感も増してくるはず。まあ流石にそれは志摩の刑事としての能力に疑問符がつきかねない展開なので避けるかなーとは思いますが

*3:これは私のTwitter運用方法がTL外のツイートを捕捉する仕様に全くなっていないというのも大いにあるとは思うのですが……